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 司法試験の受験を考えているゼミ生と、そのゼミ生が作成した答案を見ながら面談をする機会があるのですが、その際、多くの方から同じことを尋ねられます。それらの質問に対して、私が正しい答えを知っているわけではありませんし、すべての人に対して有効な助言ができるわけでもありませんが、何年面談をくり返してきても、私が本音で答えられることはどうやら変わらないことがわかってきましたので、ここに記しておきます。

 「司法試験のための勉強」に焦点を当てて助言を求められる限り、ほとんどの悩みは、適切な方法に従った勉強を長時間継続する以外の仕方では解決することができないだろうと、私は思います。試験のために勉強を続けるというのは、決してやる気の出る話ではありませんが、勉強を続けるという意欲はもち続ける必要があります。しかし、「どうすればやる気が出るか」といった類のことについては、各人各様の解決策があるでしょうから(どうすればモチベーションを保つことができるかは、司法試験を受けようという動機に応じて異なるでしょう)、お答えが難しいところです。

 Q どうやって勉強するのがよいですか?

 基本書を地道に読んでください。その際、「とりあえず全体を回す」などといって流し読みをしても、あまり得られることはないのではないかと思います。1文ずつ熟読し、そこに書かれていることを、自分自身に対してごまかしなく説明することができるかを確かめながら読み進めるよう、心がけてください。丸1日かかって10頁くらいしか読み進められないというようなことがあっても(私が経験した範囲では)普通のことですから、辛抱強く読んでください。

 このように申し上げると、「基本書を読むのには時間がかかる(≒だから、予備校に行くほうがよい)」とお感じになるかもしれません。しかし、たとえば予備校の教材で「○○講座」の動画を視聴するときにも、真面目に受講すれば数か月はかかるのではないでしょうか。それと比べて、基本書を読むほうが時間がかかるということはないのではないかと想像します。

 また、「基本書を読んでも難しくて挫折する」というお考えもあるかも知れません。予備校に通うことでモチベーションを維持することができ、挫折せずに勉強を続けられるのであれば、そうすればよいのではないかと思います。ただ、その場合には、予備校に通う目的が、「勉強を進めること」から「モチベーションを維持することに」にすり替わっている可能性があることに注意しなければならないでしょう。

 さらに、念願叶って司法試験に合格することができたと想像を膨らませてみますと、裁判官・検察官・弁護士等として仕事をしていくときには、もう予備校が助けてくれることはなく、わからないことは基本書(あるいは、さらに高度な専門文献)に当たって調べなければならないだろうと思います。司法試験を受験するための準備というのは、それができるくらいの力を付けることを目標とするものなのではないかとも思います。

 私は、司法試験受験予備校のことはまったく知りませんので、とんちんかんな推測も述べているかもしれません。くれぐれも誤解のないようにお願いしたいのですが、私は、「予備校に通うのが無意味だ」と申し上げているわけではありません。私が申し上げたいのは、「予備校に通わなければ勉強ができない」とか、「予備校に通っているから勉強をしている」という考えがおかしいということです。

Q どの基本書がよいですか?

 わかりません。ただ、司法試験のために勉強することが目標なのであれば、自分に合ったものを選べばよいと思います。自分に合った本を選ぶための方法としては、十分に理解することができない問題を2、3個選んで、それについての解説を比べてみるとよいと思います。その結果、最もわかりやすいと感じた本から読み進めていくとよいでしょう。

 なお、「基本書は1冊を読み込むべきだ」などと言いますが、1冊を読むということは、ほかの本を参照してはいけないということではありません。その1冊を読むために、ほかの本の説明も参照して、いろいろな角度から叙述の意味を考えてみることが重要であると思います。

Q 答案の書き方がわかりません。

 様々な原因が考えられますが、十中八九、わかっていないのは、答案の「書き方」ではなく、「書くべきこと」です。つまり、十分な答案を書けるようになるためには、まだ勉強が足りないということです。

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